佐藤春夫 『車塵集』 [古書籍]

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佐藤春夫の『車塵集』、武蔵野書院より昭和4年に刊行されました。
装丁は小穴隆一。楚々として幻想的なカバーとは対称的に、本体はインクべったりのけばい緋色。華やかではありますが、私は断然カバーが美しいと思います。

『車塵集』で扱われている漢詩は、すべて女性によってつくられた詩です。内容も、日々の思いを綴ったものや恋愛に関するものなど、等身大で好感が持てます。佐藤春夫の素朴な翻訳も、作品全体の雰囲気を可憐なものにしていると思います。
もしかしたら、カバーと本体の対比は、閨秀詩人の清楚な容姿と彼女たちの内に漲る情熱や意志を表現しているのかもしれません。そう思うと、緋色の装丁もなんだか好ましく思えてきます。
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