ジャパニーズ・アールヌーボー [古書籍]

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橋口五葉 装丁の『虞美人草』夏目漱石 著、明治41年、春陽堂。
漱石と橋口五葉の名コンビ。今風に言うとコラボとかいうんでしょうね。

この装丁に関しては、もう「素晴らしい!美しい!」という言葉しか出てきません。
以前もご紹介したことがあるのですが、帙は地味~な濃紺ベースに芥子色でタイトル。で、それをぱかっと開くとこの華やかな美しい装丁!たまりません。
正統派アールヌーボー調のデザイン自体も素晴らしいのですが、特筆すべきはこの色彩感覚。ひなげしの妖しく・儚げで・無垢な表情がうまく表現されていると思います。

例えば同じ題材を扱った画は、有名なものは海外の印象派の華やかで明るいものがありますが、あれはあれで情景としてとても良い。親子の語らいと春の日差し、太陽。ひなげしは光が分化したように画面に散らばってとても生命感に溢れています。借景としてのひなげし。

それとはまったく異なるベクトルを持つひなげしが、この五葉の装丁だと思います。
固い皮に包まれグロテスクな棘をもつ蕾。蕾を支える茎はアンバランスに細く、触手のよう。
そのくせ花が開けば、この上なく無垢な表情で薄紙のような花弁を空に向ける。
『虞美人草』の装丁を依頼されてから、おそらく五葉はこの花を何度もスケッチしたのでしょう。ひなげし的にベストの角度で姿が描かれていると思います。のたうつような葉の挿入もいい。

彩色に関しては

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